仕事ができる人ほど実践する図解の力

図解の力

仕事をしていると悩むばかりで仕事が先に進まない、打合せで議論がかみあわず空中戦になってしまうという経験は誰しもお持ちではないでしょうか。

その原因として、論理的思考力の欠如やコミュニケーション能力の低さをあげることもありますが、もしかしたら「図解」を実践していないというのが大きな要因かもしれません。

今回は大多数のビジネスパーソンが理解していない、図解が持つ力について解説します。

頭の中のワーキングメモリは限られている

今月中に来期の計画を立てないといけないのに、どこから手を付けたら良いか分からず、結局期限ギリギリでどうにか計画を立てる。
例えばですが、このような出来事や似たような経験をお持ちの方も多いと思います。

簡単かつ具体的な仕事であれば、特に悩むことはないものの、漠然とした大きなテーマであったり、込み入った複雑な問題に対処する時には時間がかかってしまう。
これは誰にとっても起こりうる、仕方がないことです。

なぜなら、人間の頭は大きな問題に対処できるだけのワーキングメモリ、作業スペースがないからです。
試しに、以下の掛け算を頭の中だけで計算してみて下さい。

73×89

暗算できないという方がほとんどではないでしょうか。
しかし、紙とペンを使えば、正解は6,497と導くことができるでしょう。

このように人の頭の中のワーキングメモリは非常に限られているため、頭の中だけで難しい仕事を考えていても前に進めることはできません。

思考の外部化で図解を用いると理解が進む

もし、いま取り組んでいる仕事が2桁の掛け算よりも簡単であれば、図解力は不要です。
しかし、もし2桁の掛け算より難しい仕事をしているのであれば、図解力は大きな威力を発揮します。

頭の中で考えていることを外部化し、頭の容量を拡張する、その時に図解を使うと効果的に仕事を進めることができます。
たとえば、新聞報道で下記の文章を読んだとします。

今回のA銀行におけるシステムトラブルの原因は、基幹システムと各ユーザーをつなぐ中継システムで手数料をチェックする機能でエラーが発生したことにあります。

この内容を読んだだけでパッと理解できたでしょうか?
この内容を図解すると、このようになります。

中継システムでエラー

文字だけでは分かりづらくても、図にすると一気に理解が進みます。図解にはこのようなパワーがあるのです。

思考の深化やコミュニケーションでも図解は効果的

一方で、普段から図解をしながら考えている、図解をしながら説明をしているビジネスパーソンがどれくらいいるでしょうか。
ほとんどのビジネスパーソンは、PowerPointなどで資料を作成するときにはじめて図解をします。
これは非常にもったいないことだと思います。

今期の計画を立てる時に白紙に書き出してみたり、他の人と議論をするときにホワイトボードや裏紙に書き出してみたりすることもできます。

有名な話では、大谷翔平選手が子供の時に目標を立てる時に作ったマンダラートや、ジェフ・ベゾス氏がAmazonビジネスを始める前にビジネスモデルをナプキンに書いたなどのエピソードを聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。

何か大きな問題に取り組もうとしたときに、図解は強力な武器となります。
図解をすることは、抽象化して本質を抜き出す作業になるからです。
繰り返しになりますが、2桁の掛け算より難しいことを行おうとしているのであれば、書き出してみる、図解してみることが、仕事を進める上での最短ルートです。

デザインセンスは不要、基本形は6つ

では、どのように図解をしていけば良いのでしょうか。
デザインセンスは全く不要です。まずは書き出してみることが大切です。

最初はキーワードを書き出すだけでも良いでしょう。

キーワードの書き出し

その上で関係するところに線を引く、同じカテゴリを囲う、など書き足していくと、徐々に頭の整理がついてきます。

そして、図に落としていきます。基本形は多くありません。

概念図

キーワードを書き出し、関連性の矢印や同じグループを囲ったりします。

まだ全体の構造が見えていない段階で、頭のモヤモヤを表現するときに適しています。

ロジックツリー

ある程度キーワードの共通性や、抽象/具体の構造が見えてきたときに使います。

一般的な組織における課題を整理する時に効果的です。

ベン図

2つ、3つほどの要素が重なり合っているものを整理するときに使います。

例えば、管理職かつ中途入社のように、条件を絞り込むときに視覚化する手助けとなります。

2つの軸で整理をする際の最も一般的な図です。漢字の田に似ていることから田の字とも呼ばれます。

製品別に国ごとの売上高を整理するなど、適用できる範囲が広いため、迷った時はマトリックスを使うことで、図解に迷うことはなくなるでしょう。

三角図

母数が大きいもの、少ないものの関連性を示すときに使います。

例えば、大企業から中小企業を表現する時などによく使われます。

フローチャート

要素が順番に分岐しながら流れていくさまを表現する図です。前後の工程をわかりやすく表すことができます。

業務の流れやシステムの流れなど、時系列で整理するときに効果を発揮します。

これら以外にも様々な図がありますが、まずは基本形をマスターした上で、分かりやすい図の引き出しを増やしていくとよいでしょう。

他の人の図解を見て、これわかりやすいな、と感じたものは自分の中にストックしていき、段々と必要な時に分かりやすい図を出したり、または自身で考え付いたりするようになっていきます。

図解思考は他者と議論するときも有効

図解は自分ひとりで考える時だけではなく、他者と議論をするときにも有効です。
会議室にホワイトボードはありますか?オンライン会議であればホワイトボード機能や白紙のPowerPoint、OneNoteなどは使ってみたことはありますか?

議論をするときに図解をしないと、いつまで経っても平行線…ということも起こりえます。
いわゆる空中戦です。

図がない場合

それが一個の図を描くだけで、お互いの認識が一致している点、または一致していない点が明らかになり、急に議論が進みだすということもあります。

図がある場合

実践の積み重ねがパフォーマンスを生む

図解は一日や二日でマスターできるものではありませんが、毎日少しずつの積み重ねで数か月、数年後には大きなパフォーマンスの差を生み出すことができます。

どの時にどの図解を使うとよいのかは目的に応じて変わってきます。
図解を有効活用する力を磨くには、論点に適していると考える図で他者と議論をし、他者からフィードバックをもらい修正をかけていく、これを繰り返すことが有効です。

EdWorksでは、目的を適切に捉えるための論理的思考力を鍛え、実践を通した図解思考力の強化をご支援しております。
日常的に図解をする癖を身につけ、コミュニケーションと思考を高度化したいとお考えの方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。


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