コミュニケーション力はどうやって高めるか?

企業が新入社員を採用する際にもっとも重視するスキルは「コミュニケーション能力」です。各調査のデータを見てもここ数十年不動の1位を獲得しています。
2023年のLinkedIn調べでは、仕事の価値観の変遷を調査した結果、20年前・現在・そしてテクノロジーが進化する20年後においても、最も必要とされるスキルとして考えられているのは「コミュニケーションスキル」と判明しています。

現代の企業組織において単独で行える仕事は皆無に等しく、常に他者とコミュニケーションをしながら遂行する仕事が多いからこそ、求められているスキルと言えるでしょう。

しかしながら、コミュニケーション能力に課題を感じている組織や個人も多いはずです。そこで、本記事ではコミュニケーション能力は高められるのか、高められるとしたらいかに高めていくのかについて解説します。

コミュニケーション能力が求められる背景

冒頭申し上げた通り、コミュニケーション能力は新卒採用時に最も重視されるスキルです。経団連の2018年新卒採用に関するアンケート調査結果によると、選考にあたって特に重視した点のトップは断トツでコミュニケーション能力がきています。しかも、この傾向は10年以上変わっていません。

コミュニケーションが求められる背景については改めて述べるまでもありませんが、現在の仕事においてコミュニケーションなしで完成する仕事はほとんどありません。どんな技術職であっても、チームで仕事をしたり、上司と連携したりしながら仕事を行います。

サッカーに例えるなら、コミュニケーションはパスに当たります。もしチームメイトに適切なパスが回せない選手がいたら、チームに加わり活躍することは難しいでしょう。

コミュニケーション力は高められるのか

入社する時点でもコミュニケーション力は求められますが、入社した後にもコミュニケーション力不足を本人や周りが認識するケースはあるでしょう。

「コミュ力」という略称が一般化されているように、学生時代からコミュニケーション能力は人の特性を言い表す言葉のようになっており、成人するまでにある程度能力は決まってしまうと思っている方も多いかもしれません。

しかし、コミュニケーション能力、特にビジネスにおけるコミュニケーション力は何歳になっても高めることができます。

例)「報連相」

一番分かりやすい例で言うと、新卒で入ってきたばかりの社員は「報連相」をどのタイミングで、どのように行えば良いか、経験がないため分かっていません。ご自身の新人時代を思い返して頂くと、報連相の適切なタイミングや内容に苦労した経験があるでしょう。

このように、学生時代に「コミュ力」がいかに高くとも、ビジネスにおけるコミュニケーションができるとは限りません。

それが、経験を重ねるうちに、上司に対してどのように報連相を行えば良いか、徐々に分かるようになってきたはずです。

入社したての頃は「報告が遅い」「要点をまとめてから言うように」などと指導を受けていても、徐々に報告のタイミングや要点のまとめ方を学んでいったはずです。

これがまさに、コミュニケーション力の向上です。

コミュニケーション力とは

報連相を例にコミュニケーション力が高められることを書きましたが、そもそもコミュニケーション力とは一体なんでしょうか。

ビジネスにおけるコミュニケーション力は大きく「論理構造」「伝える力」「受け取る力」「非言語コミュニケーション」に分けることができます。

論理構造

伝える中身の論理構造。

どんなに流ちょうに伝えられたとしても中身がなかったり、論理が適切に構成されていなければ相手に伝わりません。これはコミュニケーションと異なると思われるかもしれませんが、ビジネスにおけるコミュニケーションでは最も重要な部分です。

伝える力

受け手に口頭、文字、図などで伝える力。

特定の少人数に伝える場面もあれば、不特定多数の前で伝えるプレゼン能力があります。また、口頭で伝えるだけではなく、資料などで図に落とす力やメール・チャットなどの文字で伝える力も含まれます。

受け取る力

メッセージを受け取る力。

伝える力よりも高度な技能が必要なのが受け取る力です。話し手が伝えた内容を再度頭の中で再構成し、理解する必要がありますので、論理的思考力が基盤に必要です。また、足りないピースを質問して確認したり、質問によって相手の行動変化を起こす力も含まれます。

非言語コミュニケーション

態度や様子など、コトバ以外で相手に伝わるメッセージ。

発する言葉以外にも受け手に伝わるメッセージはたくさんあります。服装や表情、態度やはたまたその空間も相手に対するメッセージとなります。大事な商談をスウェットかつ無精ひげを生やし、地下室の暗い一室で行っていたら、どんなにすばらしいことを言葉で言っても、それ以上の負のメッセージが受け手に伝わってしまいます。

このように定義が曖昧なコミュニケーション力を分解することによって、コミュニケーション力を高める方法というのが見えてきます。

コミュニケーション力を高める方法

コミュニケーション力を4つの構成要素に分解しましたので、あとはそれぞれの要素を高めていけば、最終的な総合力であるコミュニケーション力が高まります。

論理構造には、論理的思考力

まず、論理構造については一見遠回りに思えますが、論理的思考力を高めるトレーニングを行います。別の資料で詳しく解説していますので、そちらをご参照下さい。

 ※ロジカルシンキング基礎 ~4つの基本形と鍛え方~

伝える力には、基本の3要素

次に伝える力です。ここではプレゼンや文章力にも通じる原則を記載します。
伝える力は、基本の3要素を意識することで改善を図ることができます。

  1. 相手に期待する行動を思い描く
    コミュニケーションを取ることで、相手にどんな行動を取ってもらいたいのかを明確にする。
    目的がないコミュニケーションはただの雑談です。
  2. 相手の知識レベルを想定する
    相手がどの程度の知識を持っているのか想定し、相手の反応を見ながら修正して伝えること。
    説明が不足していたり、相手が知っている内容を延々と伝えては相手に大事なことが伝わりません。
  3. 相手の置かれた立場を理解する
    相手の立場に応じた伝える内容や伝え方を構成すること。
    例えば、立場上どうしても自分の伝えたい内容に反対せざるを得ない人に対して伝える内容と、同じ立場にいる同僚に伝えるのでは、内容が必然的に変わってきます。

それぞれの3要素を意識しながら、準備をしてコミュニケーションを行うことでビジネスでの伝える力は向上させることが可能です。

受け取る力には、再構成力と理解力

受け取る力は、最も高度な能力を必要とします。話し手の伝えたい内容を再度自分の頭の中で論理を再構成し、理解する力が求められるからです。普段の仕事で鍛えるためには、常に相手の話の内容や資料を読みながらも、要点は何か、なぜそう言えるのかを考えながら受け取ることが訓練となります。

仕事を離れた場であれば、ノンフィクション系の読書も受け取る力を鍛えることができます。読了後にその本が何を伝えたかったのか、何を根拠にそう言っていたのかを簡単にまとめることで更に効果が高まります。

非言語コミュニケーションには、受け手目線で7要素を意識

最後に非言語コミュニケーションです。
非言語は次の7つに分解することが可能です。

  1. 身体動作(身振りや北条など)
  2. 身体の特徴(髪型やにおいなど)
  3. 接触行動(握手やハグなど)
  4. 近言語(笑いや「おお!」といったリアクション)
  5. プロクセミックス(人との距離)
  6. 人工物(服装、身なりなど)
  7. 環境(部屋、温度など)

それぞれの要素が、どのようなメッセージを相手に伝えることになるのか、それを意識することから始めます。また、自分が受け手の時に感じたメッセージからも学ぶことができます。
最初は意識してコントロールしていても、自然と習慣化されていずれは無意識に伝えたいメッセージを伝えることができるようになるでしょう。

ビジネスにおけるコミュニケーション力

ビジネスにおけるコミュニケーションは決して流ちょうにベラベラと話すことだけではありませんし、また誰とでもすぐに仲良くなれる力でもありません。
仕事をする上での目的を円滑に達成するために求められるのがコミュニケーション力です。

コミュニケーションが苦手ですという人に会うこともありますが、実はそんな人こそ仕事の目的を達成するために、非常に無駄のない円滑なコミュニケーションをしているコミュニケーション上手だったりします。

一方、いわゆる「コミュ力」が高い人が、仕事では発言は多いけれどもいつまで経っても本題に入らない、本題に入っても的が外れているという人も少なからずいます。

ビジネスにおけるコミュニケーションは「相手に期待通りの行動を取ってもらうこと」、そして「仕事の目的を達成すること」にあります。

コミュニケーションが苦手と考えている人であっても、ビジネスにおけるコミュニケーション力は必ず高めていくことが可能です。

弊社ではコミュニケーションにフォーカスした反復型のトレーニングを提供しています。コミュニケーションは1日では変えることができませんが、1か月程度の反復を行うことで向上させることができます。

正確に意図を伝え、受け手に期待通りの行動をしてもらえるコミュニケーション力を鍛えたいとお考えの方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。


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