視座を高めるためには?

「管理職や役員の視座を高めるためにはどうしたら良いでしょうか?」
このようなご相談を頂くことが多くあります。

現状についてお伺いすると、
「いま目の前にある課題に対して対応はできるけれど、未来を考えて行動ができない」
「視野が狭く、これまでの経験や前例からしか判断ができない」
このような回答が返ってきます。

しかし、「では、視座が高いとはどういう状態ですか?」という問いに対して、はっきりとした答えを持っている人は少ないのが現状です。 このコラムでは「視座が高いとはどういうことか?」と「視座を高めるにはどうしたら良いか?」について解説します。

視座が高いとは?

視座が高いというのはどういう状態でしょうか。
一つは文字通り、視点が高い、つまりより上位の立場からものを考えられるという点です。
もう一つは、時間の視点を自由に変えられるという点です。
どういうことか一つずつ見ていきます。

上位の立場からものを考えられる

一般社員であれば、課長や部長の目線で物事を捉えられる、部長や本部長であれば社長の目線で物事を捉えられるということです。

例えば、営業社員が目の前の案件を獲得するために大幅な値引きを社内で申請したとします。しかし、営業部長の立場では、値引きを承認することにより、営業全体への安易な値下げが浸透してしまうリスクの方が大きく承認できません。

もし、この営業社員が視座の高い人であれば、営業部全体への影響を考えて、値引き以外の案件獲得のための対策を取るか、営業部全体への影響がない(リスクがない)ことを予め説明した上で承認を取ろうとするでしょう。

このように自分の視点からだけではなく、より上位の立場からも考えられるというのが視座が高い人の一つ目の特長です。

時間の視点を自由に変えられる

例えば、いまの会社の主力製品は〇〇だが、今後の技術変化を見据えると、5年後には〇〇は売上が減少し始めるに違いない。従って、5年後のための新しい製品の開発を行おう。

このように現在だけではなく未来や過去の視点から現在を見つめられるというのも視座が高い人の特徴と言えます。
現在の視点だけから目の前の仕事を見ていると、前例踏襲ばかりになり、時代の変化に気が付かず、気づいた時点では時すでに遅しという状態になってしまいます。

普段から「なぜこのような業務になっているのか?」「今後どのような変化が訪れるか?」と、昔の人になったり、未来人になったり、視点を自由に動かせるようになるのが望ましいと言えます。

鳥の目、虫の目、魚の目

これら2つの特徴を言い表す「鳥の目、虫の目、魚の目」という言葉を紹介します。
これは、鳥のように高い視点からものを見られる、虫のように近づいて様々な角度からものを見られる、魚のようにものごとの流れを見られることを指す言葉です。

これら3つの目をいつでも自在に使いこなせる人が「視座が高い」人といえます。

「視座が高い人」に共通する特徴

視座が高い人に共通しているのは、「目的志向」という点も挙げられます。

常に「あるべき姿」や「目的」を見失わない姿勢を有しています。

たとえば、社内で何か新しい施策を実施しようとした時に、ある程度の規模がある企業であれば、社内ルールや過去の慣習が壁になって前に進まない事態も出てきます。その時に、視座が高い人であれば、なぜその社内ルールや慣習が存在するのか、その社内ルールは誰が作ったもので、変えることはできないのか思考を巡らせます。結果的にルール自体を変更するように働きかけるのも目的を見失わないからこそできることです。

その他に、「手段に囚われない姿勢」も共通しています。目の前の仕事に集中してしまうと、それ以外の選択肢が見えなくなるケースは誰しも経験があると思います。

たとえば、新製品の売上拡大のために、代理店開拓に注力していたものの、思うように結果がでないケースを想定してください。手段が目的化してしまっていると、代理店の数を増やす、代理店の質を上げるという思考ばかりに囚われてしまいます。これ自体は間違っていません。

しかし、元々の目的は新製品の売上拡大であり、代理店開拓はあくまでも手段です。代理店開拓以外にも直販や外部委託など手段はありますので、柔軟に手段を選択できるのも視座が高い特徴と言えます。

視座を高めるためにはどのようにしたら良いか

それでは鳥の目、虫の目、魚の目を持つためにはどのようにしたら良いでしょうか。
一つは知識、もう一つは訓練です。

知識

まず、知識というのは他の視点を知識として持つということです。例えば、外国にも行ったことがなければ、外国人とも会ったことがない人が自分の住んでいる国を高い視座から認識できるでしょうか。

外国だと〇〇が当たり前だけれど、自分の住んでいる国では〇〇は当たり前ではない、このような知識を持つことで、初めて自身の住んでいる国について高い視座から見ることができます。

知識重視の教育への反省や生成AIの登場によって、知識にはあまり意味がないという考え方も広がっていますが、視座を高く持つためには様々な視点からの知識を持っておくことが大切です。

しかし、知識を持っていたとしても、新しい課題にぶつかった時に知識だけでは太刀打ちできないこともあります。そのような時でも、自分の視点を高く持てるかどうかは訓練がモノをいいます。

訓練

訓練方法はOJT(日常の仕事を通じて学ぶ)とOff-JT(職場から離れた場所で学ぶ)の2つが挙げられます。

OJT(日常の仕事を通じて学ぶ)

OJTであれば、新しい施策や取り組みについて上司や同僚からフィードバックを得ることで、別の視点を養うことが可能です。

最終的には、自分の中に異なる考えを持つ人格を複数人住まわせることができればベストです。これは決して多重人格者になれという訳ではありません。自分とは異なるものの見方をする同僚や上司であればどのように考えるだろうか、と自分の頭の中で別人格が意見を出せるようになれば、一人でも視野をぐっと広げることができます。

Off-JT(職場から離れた場所で学ぶ)

もう一つはOff-JTです。Off-JTでは、例えば「会社の5年後の成長ビジョンを描く」といったテーマで考え、議論し、発表することなどが有効です。強制的に社長の立場で未来を見据えて考えなくてはならないため、視座を高くするためには何を考えるべきかの訓練ができます。

その他の有効な訓練

また、日常的には抽象化スキルを高めていくことも有効な方法の一つです。ここで言う抽象化スキルとは、個別の要素を排して、できるだけ共通する部分を抜き出せる力のことです。

これは分かりやすい例ですが、IT業界を中心にサブスクビジネスが主流になってきています。これまでサブスクとは全く無縁であった、自動車業界、飲料業界などにもサブスクは広まりつつあります。

このように、別の業界の事例をサブスクという形で抽象化し、それが自分の業界に当てはめられないか考える、その上で具体的なビジネスに落とし込んでいく。このように抽象化→具体化を繰り返していくことで、全く関係のない業界からでもアイデアをもらえるまさに視座が高い人になることができます。

抽象的なビジョンからの落とし込み

5年後の会社の成長ビジョンから逆算して、現在の自分の業務内容を今後どのように変化させていくべきかまで落とし込んで考えてもらうための思考の整理と言語化をするためのワークシートを用意しました。自社の状況に合わせてご活用ください。

これらの取り組みをOff-JTの1回だけではなく、年に1回程度の頻度で通常業務にも取り入れることで視座を高く仕事を行うことができるようになります。 たとえば、年度初めに一人ひとりがその年に取り組む業務の計画について、翌年以降も見据えた計画で発表するのも効果的です。

まとめポイント

  • 視座が高いとは視点が高く、時間軸を自在に変えられること
  • 鳥の目、虫の目、魚の目を意識することがポイント
  • 知識の習得とOJT・Off-JTの訓練で視座を高められる

本コラムにより、漠然と視座が低いと感じている悩みがクリアとなり、レベルアップを図る一助となれば幸いです。

EdWorks(エドワークス)では、若手から管理職までソフトスキル育成を支援しています。
自社に合わせてカスタマイズしたトレーニングプログラムをお探しの方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。


関連するコラム

中堅社員に求められるスキルとは?
中堅社員に求められるスキルとは?
若手のうちから鍛えるべき視点
若手のうちから鍛えるべき視点