ソフトスキル一覧、ソフトスキルにはどんなスキルがあるのか

ソフトスキルには定められた統一の定義は存在しません。そのため、様々な研究者や団体が独自にソフトスキルの定義や包含されるスキルを提唱しています。
ソフトスキルは目に見えないため、何を重視するかによって、人によって切り口が変わってしまうことが多様な定義を生む原因となっています。
例えば、「考える力」はどのように分解したら良いでしょうか。 人によっては「論理的思考力」「批判的思考力」などと分解する人もいれば、「メタ認知能力」「情報選択能力」「図解思考力」などに分ける人もいます。
今回はそのような多様な定義を持つソフトスキルについて、代表的な分類をご紹介します。
ソフトスキルとハードスキルの境界線は曖昧
ソフトスキルは切り口が人によって異なりますが、対象として想定しているスキルは概ね同じです。
ただし、ハードスキルとの境界線は実はそこまで明確ではなく、スキルによってはハードスキルに含む人もいたり、その逆の場合もあります。
例えば、ソフトスキルの代表格として挙げられる思考力には分析する力を含むケースが多いですが、分析を本業としているアナリストからすれば分析能力はハードスキルに含まれると思います。分析する力もどこまでがソフトスキルで、どこからがハードスキルかは定義するのが困難です。
そのため、ここでは、ソフトスキルとハードスキルの厳密な境界線は一旦脇に置いたうえで、これまでに提唱されたソフトスキルの分類を3つご紹介し、その後、EdWorksが定義するソフトスキルの分類をご説明します。
IEEEの分類
最初に紹介するのは、IEEEの分類です。
ソフトスキルを大きく、メタ認知スキル(metacognitive)、個人内スキル(intrapersonal)、対人スキル(interpersonal)、問題解決スキル(problem solving)に分け、そこに細かいスキルをカテゴライズしています。
思考系スキルをメタ認知と問題解決スキルに分け、その他のスキルを対人スキルと個人内スキルで分けている点が特徴的です。
| 分類 | スキル・能力 | 
|---|---|
| メタ認知スキル | 自立的・自律的学習 | 
| 学ぶ意欲 | |
| 情報の統合と総合 | |
| 情報の評価(特に入手時) | |
| 高度な思考 | |
| 批判的・分析的思考 | |
| 革新的思考 | |
| 個人内スキル | 柔軟な考え方 | 
| 創造性 | |
| 柔軟性と適応力 | |
| 批判、フィードバックを受け入れる姿勢 | |
| 他者の考えや思想に対する寛容さ | |
| 自発性(イニシアチブ) | |
| 忍耐力 | |
| 自己管理 | |
| 自己規律 | |
| 計画性 | |
| 優先順位をつける能力 | |
| 自己主張 | |
| 前向きであること | |
| 仕事の質に対する意識 | |
| 対人スキル | 社会的交流と共感 | 
| 聞き手になること | |
| 協調性とチームワーク | |
| リーダーシップ | |
| 口頭および文書によるコミュニケーション | |
| 知識を実社会に活かす | |
| プレゼンテーション能力 | |
| 問題解決スキル | 問題解決能力 | 
| 問題を明確にする力 | |
| 望ましくない状況の要因分析 | |
| 体系的な設計プロセスの遂行 | |
| 問題解決のための代替案の設計と評価 | |
| 解決策の実施とその効果の評価 | |
| 限られたリソースの中での作業 | |
| 時間管理 | |
| プロジェクト管理 | 
(出典)IEEE Access, 2021, Volume: 9, 29222 - 29242
DOI: https://doi.org/10.1109/ACCESS.2021.3059516
S.Vasanthakumari氏の分類
次に紹介するのはエチオピアのS.Vasanthakumari氏の分類です。IEEEの定義よりも各スキルの抽象度が高くなっています。
コミュニケーションのみ大きなカテゴリになっており、それ以外は独立したカテゴリに配置されています。
IEEEの定義よりも抽象度が高くなっているため、挙げられた全てのスキルが重要な要素だと感じられる方も多いと思います。
| 分類 | スキル・能力 | 
|---|---|
| コミュニケーションスキル | 言語コミュニケーション | 
| 非言語コミュニケーション | |
| 文章コミュニケーション | |
| プレゼンテーション | |
| チームワーク | |
| プロフェッショナルとしての倫理観 | |
| 対人スキル | |
| 人間関係スキルと相性 | |
| 時間管理とプレッシャーの下での働き方 | |
| リーダーシップ | |
| 批判的思考 | |
| 問題解決 | |
| 創造性 | |
| 対立解決能力 | |
| 交渉力 | |
| 意思決定力 | |
| 自己モチベーションを高める力 | |
| 自信 | |
| 自己認識 | 
(出典)World Journal of Advanced Research and Reviews, 2019, 03(02), 066–072
DOI: https://doi.org/10.30574/wjarr.2019.3.2.0057
社会人基礎力の分類
次に紹介するのは、ソフトスキルとは謳っていないものの、ソフトスキルを包含した概念として日本の経済産業省が定義する「社会人基礎力」です。
「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として2006年に有識者会議でまとめられました。
ここではスキルを「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つに分け、更に12個のスキルに細分化しています。
| 分類 | スキル・能力 | 詳細 | 
|---|---|---|
| 前に踏み出す力(アクション) | 主体性 | 物事に進んで取り組む力 | 
| 働きかけ力 | 他人に働きかけ巻き込む力 | |
| 実行力 | 目的を設定し確実に行動する力 | |
| 考え抜く力(シンキング) | 課題発見力 | 現状を分析し目的や課題を明らかにする力 | 
| 計画力 | 課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力 | |
| 創造力 | 新しい価値を生み出す力 | |
| チームで働く力(チームワーク) | 発信力 | 自分の意見をわかりやすく伝える力 | 
| 傾聴力 | 相手の意見を丁寧に聴く力 | |
| 柔軟性 | 意見の違いや立場の違いを理解する力 | |
| 情況把握力 | 自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力 | |
| 規律性 | 社会のルールや人との約束を守る力 | |
| ストレスコントロール力 | ストレスの発生源に対応する力 | 
(出典)https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/index.html
これまで見てきたスキルと大きな違いはありませんが、前に踏み出す力を一つのカテゴリとして切り出しているところが特徴です。働きかけや実行力は海外の研究でもあまり見かけられませんが、重要な要素には間違いありません。
EdWorksの分類
これらを踏まえて最後にEdWorksが定義するソフトスキルについて紹介します。
EdWorksではスキルを大きく「問題解決力」「コミュニケーション力」「チームワーク」「セルフマネジメント」に分解しています。
そして、それぞれのカテゴリの中に関連するスキルを包含させています。
| 分類 | スキル・能力 | 
|---|---|
| 問題解決力 | ロジカルシンキング | 
| 問題発見 | |
| 問題解決 | |
| 定量分析 | |
| 意思決定 | |
| 発想力 | |
| PDCA | |
| コミュニケーション力 | 説明力 | 
| プレゼンテーション | |
| 図解力 | |
| ライティング | |
| 受け取る力 | |
| 質問力 | |
| 非言語コミュニケーション | |
| コンフリクトマネジメント | |
| 傾聴 | |
| アサーション | |
| チームワーク | ファシリテーション | 
| 根回し・調整 | |
| リーダーシップ | |
| プロジェクトマネジメント | |
| フィードバック | |
| セルフマネジメント | タイム・タスクマネジメント | 
| 自己理解力 | |
| やり抜く力 | |
| モチベーションマネジメント | 
これまで見てきた分類と重複、または含まれていないスキルもあれば、質問力や図解力のように他には登場しないスキルもあります。
これは、ビジネスパーソンが成果を生み出すために必要なスキルを導き出した結果です。
IEEEの定義に照らし合わせると、問題解決力とセルフマネジメントはIntrapersonal(個人内)のスキル、コミュニケーションとチームワークがInterpersonal(対人)スキルに該当します。
スキルは相互に関係し合っている
各スキルはそれぞれ独立したスキルではなく、相互に関係しあっています。 
例えば、図解力はコミュニケーションに含まれますが、人に説明をする際の表現の手助けになるだけではなく、深く思考をする際にも力を発揮します。
また、ロジカルシンキングも問題解決という思考系のスキルに含まれますが、人に分かりやすく説明する際のコミュニケーションの土台となります。
このように、ソフトスキルは財務会計、労務管理のように、独立した知識やスキルではなく、相互に関係しあった総合的なスキルと捉えることができます。
関連し合うスキルをまとめて育成することが効果的
最後にこれらのスキルの大まかな相関性について記載してみます。

先ほど述べたようにスキルは独立して存在している訳ではなく、相互に関係しあっています。そのため、特定のスキルのみを集中的に育成するのではなく、複数の関連しあうスキルをまとめて育成していく方が効果的です。
この記事ではソフトスキルをどのように分解していくかを主に見てきました。
 「これが正解」という分類方法が存在する訳ではありません。それぞれのスキルに含まれる要素を理解し、自分自身または組織内の人材育成を考える際のリファレンスとして活用していくのが望ましいと言えます。
EdWorksでは、目指す人材像に合わせてスキルを組み合わせ、人材育成のご支援をしております。
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このコラムを書いた人

株式会社EdWorks
株式会社EdWorks(エドワークス)は、ビジネスパーソンの能力開発を通して、個人の自己実現と企業・組織の生産性向上を実現します。
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