若手のうちから鍛えるべき視点

「仕事量が増え、目の前のタスクを捌くことだけに集中してしまった」

「例外的な事態に遭遇したとき、適切な判断ができず、上司や会社に迷惑をかけてしまった」

といった経験を持つ人は少なからずいるのではないでしょうか。
このような場合も、視点の持ち方一つで仕事の進め方は劇的に変わってきます。

ここでは“若手”を20代ビジネスパーソンと定義し、仕事の“量”と“質”がともに高い、ハイパフォーマーになるために若手のうちから何を意識するとよいのかを解説します。合わせて、仕事をしながらできるトレーニングをご紹介します。

仕事量が増えてきたときこそ持つべき視点

会社の戦力に成長してくれることを期待される若手には、さまざまな種類の仕事が振られるようになるでしょう。

通常業務以外の仕事が増えてきたとき、パラレルでこなさなければならないタスクが増えます。期待に応えようとがんばろうとする若手の人は、一生懸命になるあまり、早く目の前のタスクをこなそうと視野が狭くなる傾向が見られます。視野が狭くなると、一歩引いて状況を捉えることができなくなってしまいます。もっと効率的なやり方があるかもしれないのに、それに気付くことができず、仕事量に比例して時間ばかりがかかるようになってしまいかねません。

仕事の目的に立ち返る

そこでおすすめなのは、ある程度仕事のイロハがわかってきたら、タスクを実行する前にその仕事の目的に立ち返ることです。

目的が明確になることで、タスクの進め方や優先順位の判断がつくようになります。
また、その仕事を上司の視点や、更にその上司の視点から見るとどのような意味を持つ仕事なのかを想像します。すると、目的達成に向けてどのように進めるとベストなのか、考える指針が持てるようになります。

自身の考えを確認する良い質問の仕方

自身の考えが正しいかどうかを確認する際に、意識するとよい質問の仕方があります。
例えば、進め方を上司に確認する際には、

「どのように進めたら良いですか?」
と聞くこともできますが、これでは答えをもらうだけの聞き方になってしまいます。

◯◯で進めたら良いと考えますがいかがですか?
このような聞き方をすると、自身の考えや判断に対するフィードバックも一緒にもらうことができます。

さらに、自身の考えや判断が採用されれば一つの成功体験となります。この積み重ねで徐々に自信はついていくでしょう。そして結果として、仕事の“質”を落とさずに、“量”にも対応できる人材に成長していくでしょう。

ケース・バイ・ケースの対応力に必要な視点

仕事内容が例外の発生しない定型業務のみの間は、教わった通りに仕事を進めることができれば問題はないでしょう。
しかし大半の仕事では、イレギュラーな対応を必要とする場面が多々発生します。そして本に書いてあるようなキレイなロジックで処理できる事態はめったにないのが現実です。実際の場面では、ロジック以外の要素を加味し、定性的情報も持ち込むことが誤った決断をしないためには重要となります。

ロジック以外の要素として、道徳や倫理観、経営理念、ビジョン、経営目標などがあげられます。より現場業務に近い視点では、プロジェクトの目的・ゴールやチーム目標などの要素があげられるでしょう。

一つのイメージしやすい例で考えてみたいと思います。

イレギュラーな事態の例

あなたはイベントの責任者です。パートナー企業の社長100人を集めた自社の目玉イベントが1週間後に京都で開催されます。そんな中、コロナとはまた別の未知のウィルスの感染拡大のニュースが連日報道されるようになりました。まだ緊急事態宣言も出されておらず、他社はイベントを自粛していない状況です。

あなたならこの事態にどのように対応しますか?

あなたの上司の立場で考えたとき、どのような対応をとると思いますか?

あなたが会社の社長として判断を迫られたとき、どうしますか?

少し考えてみて下さい。立場を変えて想像してみると、それぞれで異なる見方となり、判断に必要な材料やその基準も変わってくるでしょう。最終的な結論もそれぞれで異なるかもしれません。これは、視座を高める訓練にもなります。

イレギュラーな事態に遭遇したとき、より上位の目的・目標に立ち返ることを意識し、その上で現状の事実の整理と適切な判断基準に基づき決断を下す。この積み重ねで対応力は磨かれていきます。

自分なりの理解を得るために

上司や先輩の物事の考え方や、イレギュラーな事態にも対応できる問題解決の考え方は、見聞きする中で知識として取り込むことはできます。しかし、その知識を使っていざ自分が実践できるかというと、意外とできないものです。特に抽象度の高い考え方の場合には、見聞きしたそのときは理解した“つもり”になっている状態であり、実際の経験と結びついて初めて自身の中で消化されていきます。

上司や先輩の方は、1度伝えただけでは理解したように見えているだけかもしれないということを念頭におき、2回3回と同じことを繰り返し伝えることが効果的と言えるでしょう。

そして受け止める方は、言われる度に再度自分自身を振り返ることをします。そうすることで「あれはこういうことだったのか!」と“本当に”理解する瞬間がやってきます。

今日から取り組める視点の筋トレ

思考の整理には言語化することが有効と言われるように、書き出すことは欠けている視点を認識する手助けにもなります。

実は議事録作成は良い練習場

その訓練として活用できる一つのタスクとして、議事録作成があげられます。

議事録の形式やお作法は組織内でのルールがあるでしょう。
ここでは、会議や打ち合わせがあった際に、議事録に網羅されているかどうかチェックしてみるとよい観点をご紹介します。

  • 大目的がわかる
  • その日の打ち合わせの目的がわかる
  • 後から見返したとき、結論とネクストアクションに至った背景と経緯がわかる
  • 上位の立場の人の主要な発言とその意図がわかる
  • 欠席者が後日議事録を見てキャッチアップするのに必要な情報が含まれている

意外と時間がかかり、面倒に感じやすい議事録作成ですが、上位の目的・目標および各関係者の立場を加味して現時点の状況を捉える、良い練習場となるのです。

弊社ではここでご紹介の視点の持ち方含め、若手のうちに鍛えておくべきスキルを包含したトレーニングを提供しています。仕事の”量”をこなし、”質”の高いアウトプットを出せるようになるのに1日で変わることはできませんが、2~3か月の学び・実践・振り返りの反復を行うことで自分なりの理解を増やすことができます。

リーダーを見据えた底力を鍛えたいとお考えの方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。


関連するコラム

視座を高めるためには?
問題解決力に必要な問題設定力とは