【企業研修と研修効果に関する実態調査】8割の研修で実施後のフォローアップが行われていない

2023年9月に、ビジネスパーソン401名を対象に、「企業研修に関する実態調査」を実施しました。人材への投資に関心が高まる昨今、Off-JTの方法の一つである企業研修は以前から多くの企業で行われているものの、果たして生産性の向上につながっているのか、調査結果を公表いたします。


調査結果の概要

  • 研修の受講意図や目的の説明がなされているのは37%
  • 研修内容を業務でどう活かすか具体例の提示があったのは37%
  • 研修後に上司と振り返りをしたのはわずか22%
  • 研修の学びを業務で活用できたのは31%、研修前後の取り組みは5割以上で実施
  • 研修の学びが仕事の成果に結びついたのは31%、研修前後の取り組みは5割以上で実施
  • 研修前後の取り組みがあるほど、業務活用の割合いは増加
  • 研修前後の取り組みがあるほど、仕事の成果に結びついた割合いは増加
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1. 研修の受講意図や目的の説明がなされているのは37%

研修前に、事前に上司から研修の受講意図や目的の説明があったと答えたのは37%でした。半数以上の人は事前説明を受けている頻度が低く、4割の人はほとんど受けていないと回答。

動機付けがない状態で研修にのぞむケースが、5割以上である実態が浮かび上がりました。


2. 研修内容を業務でどう活かすか具体例の提示があったのは37%

研修中に講師から、研修内容を業務でどのように活かすことができるのか、具体例の提示があった研修は37%でした。

半数以上の研修で業務活用の具体例の提示があまりない、またはほんどなく、受講側にとってはコンテンツを実務で使うイメージがつきにくい研修が多い可能性が見えてきます。


3. 研修後に上司と振り返りをしたのはわずか22%

研修後に、学んだことをどのように職場で活用するかについて、上司と振り返りをする機会があったかの質問では、振り返りを行っているのはわずか22%という結果でした。

大半の人は実施率が低く、約5割の人はほとんど振り返る機会はなかったと回答しました。研修を受講して終わり、という実態があることが浮かび上がりました。


4. 研修の学びを業務で活用できたのは31%、研修前後の取り組みは5割以上で実施

研修で学んだ内容を業務で活用できたかの質問に対し、常に活用できた、またはたいてい活用できたと回答したのは31%でした。
31%の回答者の他の質問回答を見ると、5割以上で研修前・研修中・研修後にも取り組んでいることがわかりました。

反対に、研修で学んだ内容を業務であまり活用できなかった、またはほとんど活用できなかったと回答したのは69%でした。
活用できなかったと回答した方の他の質問回答を見ると、研修前・研修中・研修後の取り組みは2割にも満たない状況でした。


5. 研修の学びが仕事の成果に結びついたのは31%、研修前後の取り組みは5割以上で実施

研修で学んだ内容を業務で活かし、さらに成果を出すことができたかの質問に対し、かなり成果が出せた、またはそれなりに成果は出せたと回答したのは30%でした。
30%の回答者の他の質問回答を見ると、5割以上で研修前・研修中・研修後にも取り組んでいることがわかりました。

反対に、あまり成果は出せなかった、または全く成果は出せなかったと回答したのは70%でした。
成果は出せなかったと回答した方の他の質問回答を見ると、研修前・研修中・研修後の取り組みは3割に満たない状況でした。


6. 研修前後の取り組みがあるほど、業務活用の割合いは増加

上司からの説明、講師から業務活用例、上司と振り返り、の実施率と業務での活用度合いの関係性を調べてみました。


「上司からの目的説明」が「ほとんどなかった」と回答した人の内、業務で活用できたと回答した人の割合は9%、業務で活用できなかったと回答した人の割合は91%でした。
「上司からの目的説明」が「常にあった」と回答した人の内、業務で活用できたと回答した人の割合は82%、業務で活用できなかったと回答した人の割合は18%でした。

研修前、研修中、研修後の取り組みの実施率が高いほど、活用できたと回答した人の割合いは増加傾向にありました。
どの取り組みも、実施することで業務活用の促進に寄与すると言えそうです。


7. 研修前後の取り組みがあるほど、仕事の成果に結びついた割合いは増加

上司からの説明、講師から業務活用例、上司と振り返り、の実施率と仕事の成果の関係性を調べてみました。

「上司からの目的説明」が「ほとんどなかった」と回答した人の内、仕事で成果を出せたと回答した人の割合は9%、仕事で成果を出せなかったと回答した人の割合は91%でした。
「上司からの目的説明」が「常にあった」と回答した人の内、仕事で成果を出せたと回答した人の割合は73%、仕事で成果を出せなかったと回答した人の割合は27%でした。

研修前、研修中、研修後の取り組みの実施率が高いほど、成果を出せたと回答した人の割合いは増加傾向にありました。
どの取り組みも、実施することで仕事の成果に寄与すると言えそうです。


まとめ

企業の人材戦略ロードマップに沿って計画、実施される企業研修ですが、プラスの効果を出せている実感を持つ受講者は3割程度という実態が浮き彫りになりました。
研修内容を業務で活用できなかった、仕事で成果を出せなかったと回答した人は研修前後のフォローの割合が低く、逆に活用できた、成果を出せたと回答した人は研修前後のフォローの割合が高いという結果でした。
自己啓発型の学習と異なり、研修後に成果を期待するには研修の場を用意するだけでは不十分であることが結果から見えてきます。
研修前後を含めて組織として受講生をフォローする体制を整え、学んだ内容を成長に転化する手助けの仕組みをつくることが大切と言えそうです。

こちらのセミナーで「行動変化」を促す研修構築の方法を解説しています。ぜひご参考ください。


調査概要
  • 調査対象:会社員401名
  • 調査期間:2023年9月16日
  • 調査方法:インターネットリサーチ

※本調査では小数点第1位で四捨五入しているため、足し上げても合計数値が100%とならない場合があります

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