【調査レポート】実は若手世代は昇進意欲で2極化、上司や先輩からのアドバイスの受け止め方にも意識の違い現る
2024年1月に201名の20代ビジネスパーソンに対し、昇進と成長意欲に対する意識の相関について調査しました。リモートワークが普及し、プライベートに充てられる時間が増えた一方、上司や先輩から教わることのできる機会が減ったと言われています。これから成長が期待される20代における昇進への意欲の違いが、プライベート時間を学習に充てる姿勢、会社から得られる支援の捉え方にどのような違いをもたらしているのかを調査しました。
調査結果の概要
- 会社/組織で昇進したいのは4割
- 昇進に意欲的なグループでは42.5%が問題解決スキルは必要と回答、意欲的でないグループは24.6%と認識に開きあり
- 全体で7割がスキルの会得に会社の業務や研修だけでは不十分と回答、昇進に意欲的なグループでも5割以上
- スキルの会得にプライベートを学習に充てる人、昇進に意欲的は63.8%、昇進に意欲的でないは16.1%
- 自己の成長に不安や焦りを感じる人、昇進に意欲的は53.8%、昇進に意欲的でないは26.3%
- 上司や先輩からアドバイスをもらえている人、昇進に意欲的は75.1%、昇進に意欲的でないは27.1%
- 良いリーダーと思われるようになりたい人、昇進に意欲的は77.5%、昇進に意欲的でないは15.2%
- 同僚や友人の給料や昇格が気になる人、昇進に意欲的は72.5%、昇進に意欲的でないは23.7%
関連するお役立ち情報
1. 会社/組織で昇進したいのは4割
20代の若手ビジネスパーソンに対し、会社/組織で昇進したいと思うか尋ねたところ、4割が「とてもそう思う」または「それなりに思う」と回答しました。反対に、「どちらでもない」「あまり思わない」「まったく思わない」と回答したのは6割でした。
本調査では前者を昇進に意欲的なグループ、後者を昇進に意欲的でないグループに分け、自己投資の考え方や、自己成長につなげる意識の持ち方に違いがあるのか分析しました。
2. 昇進に意欲的なグループでは42.5%が問題解決スキルは必要と回答、意欲的でないグループは24.6%と認識に開きあり
昇進するために必要なスキルは何かを問う設問では、1位「コミュニケーションスキル」、2位「業務上の専門知識」、3位「リーダーシップ」と続いた。コミュニケーションスキルにおいては、昇進に意欲的なグループは68.8%が必要なスキルとしてあげました。
トップ3までは両グループで同じスキルが同じ順位で並びました。昇進に意欲的なグループの4位は「問題解決」、昇進に意欲的でないグループの4位は「行動力」であり、「問題解決」は6位でした。"昇進"を見据えたとき、問題解決の力を重要視する認識に違いが現れました。
3.全体で7割がスキルの会得に会社の業務や研修だけでは不十分と回答、昇進に意欲的なグループでも5割以上
昇進に必要なスキルは何かを理解していても、それらを身につけるためには、会社の業務や研修だけでは難しいと感じている人が7割と大半であることが明らかとなりました。
昇進に意欲的なグループに絞ったときには、55%と半数以上が会社の業務や研修だけでスキルを身につけるのは難しいという見解を持っている結果でした。
4.スキルの会得にプライベートを学習に充てる人、昇進に意欲的は63.8%、昇進に意欲的でないは16.1%
プライベート時間の活用においては、プライベートの時間をスキルを得るための学習に充てたいと思う人が昇進に意欲的なグループは63.8%。昇進に意欲的でないグループはわずか16.1%でした。
上昇志向の人は、プライベートの時間を費やすことにも積極的である姿勢が読み取れます。
5.自己の成長に不安や焦りを感じる人、昇進に意欲的は53.8%、昇進に意欲的でないは26.3%
自己の成長に不安や焦りを感じている人は、昇進に意欲的でないグループは26.3%に対し、昇進に意欲的なグループは53.8%と割合が高い結果となりました。
昇進に意欲的なグループはプライベートの時間を惜しまない姿勢を鑑みても、早く成長したくて努力をしているものの、まだ自信につながっていない人が一定数いることが推察されます。
6.上司や先輩からアドバイスをもらえている人、昇進に意欲的は75.1%、昇進に意欲的でないは27.1%
上司や先輩から成長の糧となるアドバイスはもらえているかの質問については、昇進に意欲的なグループは75.1%がとてももらえている、またはそれなりにもらえていると回答。対して、昇進に意欲的でないグループは同回答率は27.1%と、この質問においても連動するように開きがあることがわかりました。
自らアドバイスをもらおうと行動することも含め、周囲の言葉の受け止め方にも違いが見られる結果となりました。
7.良いリーダーと思われるようになりたい人、昇進に意欲的は77.5%、昇進に意欲的でないは15.2%
昇進に意欲的なグループは、良いリーダーと思われるようになりたい願望を77.5%が持っていることがわかりました。
周囲からどのように見られているのか、周りの目を上昇志向の人は気にしていることが読み取れます。
8.同僚や友人の給料や昇格が気になる人、昇進に意欲的は72.5%、昇進に意欲的でないは23.7%
同僚や友人の給料や昇格の状況は気になるか尋ねたところ、昇進に意欲的なグループは7割が気にしていることがわかりました。昇進に意欲的でないグループと比べて約3倍の人が気にしている結果となりました。
昇進という目標を掲げている人は、周囲からの見え方だけでなく、周囲の状況も気にしている人が多いことがわかりました。
まとめ
昇進やそれに準ずる目標がある人は、達成に向けて意識が働くことが調査結果からわかりました。到達したい地点に対して現在の自分はまだ未熟だという認識から不安や焦りが生まれ、自身のレベルを上げようと上司や先輩からの言葉を成長の糧として受け止める姿勢が見て取れます。しかし、プライベートの時間を費やそうと思う割合が高いことから、業務中に受けられる支援だけでは十分ではないと感じているのかもしれません。昇進意欲のある人の成長を促す施策として、企業は業務中の学びや経験を増やす工夫、また業務時間外の当人の努力を支援する工夫が後押しになり得ると言えそうです。
昇進を目標としていない人の傾向として、コーチャビリティが低い(他社からのアドバイス、フィードバックを受け入れる力が低い)ことが結果から推察されます。昇進とは異なる方向のステップアップの道筋を用意するなど、制度面も含めた当人が成長を志向できる仕組みづくりが当人の意識を変え、組織の成長に寄与するでしょう。
調査概要
- 調査対象:会社員201名
- 調査期間:2024年1月5日
- 調査方法:インターネットリサーチ
※本調査では小数点第1位で四捨五入しているため、足し上げても合計数値が100%とならない場合があります